公取委が出した「混合介護」とは


 今年9月5日に公正取引委員会(以下、公取委)から介護分野に関した報告書が出されました。少し、堅い話になりますが気になる内容なので、その点をいくつか。

★利用者本人の食事と家族の食事の支度をいっしょに

 公取委が提案しているのは、介護保険内のサービスと介護保険外のサービスを混合で利用できるようにする「混合介護」というもの。たとえば介護保険内サービスの利用者の食事の支度に合わせて、帰りが遅くなる家族の食事の支度を保険外で可能にして、介護保険内と一体として行なう、というものです。

 これによって、公取委は自由市場の競争原理にのっとり、事業者の工夫によってサービスの質の向上が期待される。また、利用者にとっては低料金でサービスが受けられるといいます。

 介護保険の利用が始まったばかりの2000年のころ、利用者の食事の支度と称して家族の食事も作るということがずいぶんありました。また、利用者の部屋を掃除するとして、家族と共有の居室の掃除をすることもよくありました。体(てい)のいいお手伝いさん状態でした。

★介護の質はどう担保されるのか

 こうしたことの改善として、特に家事援助サービスは厳密に利用者本人に関わることが求められるようになりました。実際、線引きが難しい面もありましたが、ヘルパーは介護のプロとして、家事援助であっても利用者本人の体調やメンタル面を考えながら支援していく力をつけてきました。認知症の方とは、いっしょに食事を作ることもしてきました。

 再び、家族の食事もOK、家族の居室の掃除もOKであれば、料金は別体系といえ、お手伝いさん状態に戻ってしまうということです。

 ヘルパーは介護のプロとしての研鑽を積み、医療職や地域の支援組織と連携を図って利用者本人を支援してきています。「お手伝いさん状態」に戻って、介護の質はどう担保されるのでしょうか。

★介護保険の運用は市場原理に馴染まない

 公取委は「価格競争が有効に機能」し「事業者の収入の増加をもたらす」としています。つまり、自由主義経済の競争にかなうということでしょうが、そもそも介護保険の運用は、自由主義経済の原理には馴染まないものです。

 介護保険の原資は国民から徴収した保険料と税金です。介護保険の適用は、等しく必要な人に速やかに届くよう、国は努力してほしいものです。(写真は夕暮れが早くなった沖縄の秋の空)

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