介護保険法の改定内容の私見 2018年度
3年に一度の介護保険制度改定のための方向が、厚生労働省から出されました。
堅苦しい内容になりますが、興味のある方は参考にどうぞご覧ください。

厚労省から出された資料を読むと、以下の点についての強化が伺えます。
1)保険者(市区町村)の役割がより強化された
2)介護の重度者の医療管理と生活機能を合わせた施設の新設
3)介護と障害福祉を同一事業所で共生するという位置づけ
他に、利用者負担の見直しがされました。
保険者(市区町村)の役割がより強化された
超高齢社会が進展しつつあるなかで、介護保険制度をこれからも維持し続けていくためには保険者がイニシアチブをとり、その機能を発揮していかねばならないと、再度(3年前もあり)明文化。保険者(市区町村)の役割強化と関わりの強化が示されました。
これは、「自立支援と重度化防止」をしっかりやれよ、と保険者に「丸投げ」した感が否めないのですが、どうでしょうか。市区町村にはそのキャパシティがどれだけあるのか。自治体によって、さまざまな面で支援レベルの差が出てくるでしょうね。
介護の重度者の医療管理と生活機能とを合わせた施設の新設
新施設の機能としては、「長期療養型のための医療」と「日常生活上の世話(介護)」を一体的に提供するとし、介護保険施設であり、医療提供施設として法的に位置付けるものとしています。「日常生活上の世話」と文言化することで、「入院」中の生活のクオリティが、より高まることを期待したいと思いますが……。
施設の名称は「介護医療院」だそうです。
ここでの「長期療養」という文言がちょっとよくわかりませんね。どのような状態を指しているのか、イメージがいまいち見えません。
それに合わせて、現行の介護療養型病床は経過措置を6年とり、終了となります。新施設は、それにとって代わるものとして位置づけられたと言っていいでしょう。
介護と障害福祉を同一事業所で共生するという位置づけ
ここについては、ちょっと厚労省の社会保障審議会介護保険部会が時間切れの感がするのは、私の考えすぎでしょうか。「この理念を実現するために、市町村が包括的な支援体制づくりに務める旨を規定」とあるのはなに? 具体的な説明がほしいところです。
新たな共生型サービスの位置づけについては、高齢者と障害児者が同一の事業所でサービスを受けやすくするため、介護保険と障害福祉両方の制度に新たに共生型サービスを位置付ける、とあります。
ホームヘルパー派遣やデイサービスなどの利用に、高齢者も障害をもつ人もともに同一事業所で利用できるよ、ということでしょうか。
ですがそれは、現場職員にはより高い技術と知識を求めることになりますね。「入れ物」を整えれば済むことではないので。現場には、よりいっそうの研鑽を期待せねばなりません。
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まったなしの超高齢社会への突入と、介護保険の支え手の減少(人口減少)に対応しなければならない現状があります。国は高齢者の自立支援の強化と要介護状態の重度化の防止をあげ、それを維持してゆくために、「地域の共生社会の実現化」が必要と。
また、介護保険制度を持続維持させてゆくためには、国民みなが応分の負担をするという方向を打ち出し、介護保険利用の料金3割負担の新設と、保険者は介護保険料の増額も出しました。

これらを土台として、具体的な方針がどう出てくるのか、今後も注目してゆく必要があります。
「超高齢社会がやってくるゾー」はこれまで言われてきたことですが、もちろんイソップ寓話「狼と羊飼い」とは違います。その現象は目前にあります。国も私たち利用者も、知恵を出し合いそれに備える覚悟が必要と思います。いかがでしょうか。
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